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『狂気の海』レイトショー公開
投稿者:
井川
投稿日:2008年 7月 1日(火)08時50分33秒
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今、ユーロスペースで、高橋洋の『狂気の海』がレイトショー公開されています。
(『狂気の海』公式サイト:
http://www.kyoukinoumi.com/
)
高橋洋は実に奇妙な存在です。
理論と実践があれほどバラバラな映画作家も珍しい。
高橋自身が撮った映画は、あまりおぞましくも、恐くもない。
彼が目指しているものとは、どこかずれてしまっている。
けれども、ひとを惹きつける何か変な味があるのも確かなのですね。
『狂気の海』については、渡辺護監督の感想が一番的確でしょう。
「高橋くんは……無邪気だ!」
子供の頃の夢想を大人になってから堂々と映画にしているようなところが楽しい作品ということになるでしょうか。
ところで、『狂気の海』の併映作品ですが、これがどれも興味深い。
中でも特におすすめは、
6日(日)の『YESMAN/NOMAN/MORE YESMAN』(松村浩行)と、
7日(月)の『アカイヒト』(遠山智子)
の二本になります。
『YESMAN/NOMAN/MORE YESMAN』については、ブログに批評を掲載しているので、そちらを御覧下さい。
http://d.hatena.ne.jp/inazuma2006/20080618
で、『アカイヒト』ですが、
これを撮った遠山智子は元映画美学校生で、
2期初等科、高等科とぼくのクラスの生徒でした。
人間というより、こけしやマトリョーシカを連想させるたたずまいで、
ちょっと恐い感じの子だったのをよくおぼえています。
たしか四年くらい前のある日、学校に行ったら、
そのこけしみたいな遠山智子がロビーの片隅にひっそりとたたずんでいました。
そして、ぼくの姿を見つけると、すーっと寄ってきて、
井川さん、これ……とビデオを差し出した。
ビデオの背には「アカイヒト」と書かれているだけで何のことやら分からない。
これは何?と訊こうとして顔をあげたら、
もう遠山智子はロビーにいなかった。
その夜、家に帰って寝る前に、
ふと思い出して、渡されたビデオを見てみようと思った。
粒子の粗いモノクロ映像の中、人影がいくつもぼんやり蠢いている……。
ああ、こうやって部屋の灯を消して見てみると、
このビデオ、貞子の呪いのビデオみたいだな、なんてことを思っていたら、
TVに一人の男の顔のアップが映った。
こいつ、どこかで見たことある……誰だろう……と、
布団から身を乗り出してTVに近づいてみて、ぞっとした。
映っていたのは、ぼくだった。
そういえば、前に遠山さんの映画にちょっとだけ出演したっけと思い出した。
画面に映っているのは自分だ!と気づいたときのあの感じは忘れられないですね。
ああ、おれは呪われてしまった!となぜだか反射的に思ってしまうくらいの衝撃があった。
その遠山智子が『アカイヒト』の解説をブログに書いていますが、
これがまたちょっと妖気がただよう文章です。
特に、その3などは……。
http://d.hatena.ne.jp/inazuma2006/20080621
高橋洋が遠山智子の作品を併映作品に選んだのは、
自分が目指しながらも決してたどりつけない境地に彼女がいるからかもしれません。
とにかく、『YESMAN/NOMAN/MORE YESMAN』と『アカイヒト』の二本、この機会に見てはどうでしょうか?
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